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ある青年が素っ裸から始まって毎日倉庫から一つずつモノを取り出し、
それを365日続けるというルールで生活する様子を撮ったドキュメンタリー。
私自身モノの少ない生活をしているから分かるけど、
生きていくうえで必要なものって実はそんなに多くないんですよね。
以下ネタバレあり
エンディングで青年は
「生きていくのに必要なモノは100個。次の100個は生活を楽しむモノ」
と語っている。
生活が始まったときまずコートから始まってタオルケット、
靴などから取り出していくのだけど、
これは働くのに本当に必要なモノだから。
食事は持ってきてもらって2重窓の間を簡易冷蔵庫にしたり、
バターナイフがないから指で代用したり、
シャワーの後コートの外側で身体を拭いてそのまま着込んだり。
こんな風に人ってモノが少ないと工夫するし、
実はそれでどうにかなってしまうから面白い。
だからこそ彼は「生きていくのに必要なモノは100個」と言える。
実体験があるからその言葉に嘘はない。
逆にモノが増えていくにつれて問題が増えていく
デメリットの方が大きいように見えた。
冷蔵庫や洗濯機が故障したり、
モノのためにアレコレ悩んで行動して。
モノが増えるのは決してメリットばかりではないと思い知らされる。
人にはそれぞれちょうどいいモノの数が決まっているのだと思う。
「所有とは責任でありモノは重荷になる」
「どんな主にを背負うかは僕は自分で決める」
彼が言った言葉だが、彼はこの生活を通して
そのちょうどいい数を実感できたのだと思う。
彼の祖母が語っていたが、「人生はモノでできていない」。
どんなにモノが大切だと思っていても、それが大切なのは
そのモノに宿った想いや思い出で、決してモノ自体ではない。
この言葉はエンディングで彼自身も語っているけど、
たぶんこのドキュメンタリーが一番伝えたかったことってコレだと思う。
モノに溢れる現代だからこそ、モノとの付き合い方を考え
自分自身を律しないとモノばかり増えて中身が空っぽになってしまう。
だって人生はモノでできていないから。